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2009.10.13

ロンドンの都市景観

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夏目漱石はロンドンに留学してその文明の偉大さにノイローゼになったという。それから既に百数十年が経過し、日本は充分すぎるほどの先進国になった。が都市景観に限っていえば、今回の滞在中、私はロンドンの偉大さに圧倒され続け、羨望を禁じ得なかった。ロンドンの街並みがどこまでも美しかった。宮殿や教会が美しいのは当然だが、都心部も、やや郊外も、中産階級が住むエリアもやっぱり美しかった。

以下の写真はどこにでもあるような街角でのスナップ。

London

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これで人口720万人の大都市の街並みなのだから驚く。そうして日本の都市を顧みるとき、少し残念な気持ちになる。京都は東京界隈に比べれば景観はマシな方だが、それでもロンドンと比べれば足元にも及ばないだろう。

実に美しく、そして歩きやすい。だから歩いていて楽しいのだ。いったい何が違うんだろう?

London3その答えの一つは建造物の統一感だ。

ロンドンの住宅や建造物の多くはレンガ造りだ。この建材の外観上の良いところは、重厚感と色の統一感(赤、茶、黄などいろんな色のレンガがあったがみな暖色調だ)があって、経年劣化が少なくむしろ時代とともに良い風合いを出していくことだろう。

むろん、お金があるところの街並みは相対的にどこでも美しい。差が出るのはそれほどお金がないところの街並みだ。上に掲載した中産階級の新興住宅地と移民の多く住む団地の写真は、決して金持ちエリアではないがやはり美しい。

ロンドンには長屋形式のアパートメント、いわゆるテラスハウスが多くあった。4階建ての大きな建物が各4メートルくらいで区切られてそれぞれに扉一枚の玄関があり、半地下にキッチンと洗濯場、1階から上は各階1-2個の部屋と階段、という縦長のスタイルが一般的だ。これも富裕層の住居ではない。それでいてこの長屋の景観が美しいのは、外観デザインを周囲と合わせて統一しているからだ。多くの場合はレンガ造りで、そうでない場合でも白のペンキできれいに塗っている。こうして統一感を出すことで、都市景観が落ち着いたものになっている。

街をぶらぶら歩いていて、建物の再建築の現場を見ることができた。見ての通り、外側の壁一枚を残して、後ろは全て新築している。それでも外壁は残すのがロンドン人の心意気だ。

Saikenchiku

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都市の住居のように間口が狭い家が並ぶ地域の景観を安定させるには、隣近所とデザインを揃えて統一感を出すと良い、と都市デザインの専門家はいう。ロンドンはその好例だと思う。日本の都市景観は残念ながらその正反対かもしれない。サイドパネルの家、タイル張りの雑居ビル、コンクリート打ちっぱなしのポストモダン風の家、モルタルの家、町家風の家などが群雄割拠している。

この話、続きます

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