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2007.09.25

コロンブスの航海と風~貿易風と偏西風

Canaryこの地球上には、おおざっぱに言って、いつでも同じ方向に風が吹いているエリアがある。もちろん、風というのは日々の気圧配置によって向きが変わるものなのだが、気圧配置を生み出すものは太陽光による熱であり、太陽光は赤道付近に最も当たるという法則があるので、地球の気圧配置にも大きな法則がある。よって、マクロで見れば、風向きには法則があるのだ。貿易風、偏西風といわれているのがそれだ

貿易風とは、北半球では概ね北緯30度から赤道にかけて吹く、緩やかな北東からの風のことだ。南半球では概ね南緯30度から赤道にかけて、南東からの風が吹く。偏西風とは、北半球では概ね北緯30度から60度くらいにかけて吹く、西から東への風のことだ。南半球でも同じく、西から東に吹く。

地表付近のこの二つの風を生み出す要因は、上Kaze層から下降気流が吹き込ん でくる緯度30度付近の亜熱帯高圧帯の存在だ。亜熱帯高圧帯から赤道側に吹き出した風が貿易風で、極側に吹き出した風が偏西風となる。風向きが違うのは、コリオリの力と呼ばれる地球の自転の慣性力によって、風が進行方向に向かって右向きに曲げられるからだ。つまり北半球では、北に向かう風は東向きに曲げられ、南に向かう風は西向きに曲げられる。

なお、季節によって思いっきり風の方向が違う、季節風(モンスーン)というのもある。アラビア半島からインド、東南アジアにかけての気候は季節風の影響を大いに受ける。これは夏と冬の太陽の位置の違いと大陸と海洋の熱的性質の違いが原因なのだが、今回の主題から外れるのでまた今度。

さて貿易風と偏西風だが、ここまで面倒くさい説明をしてきたのには訳がある。1492年にアメリカ新大陸を発見したクリストファー・コロンブスの航海では、この二つの風をうまく活用したからこそ成し遂げられたからだ。

Columbus_2 当時、地球が丸いということは、確かめた者はいなかったが、すでに常識となっていた。コロンブス以前にも何名かの航海者は西回りでインドに到達しようと大西洋を渡ることを試み、スペイン西に位置するアゾレス諸島までは達していた。だが北緯37度のこの島からさらに西に進もうとして、この緯度帯に卓越する偏西風に妨げられていた。コロンブスは、スペインを出発するとまず南下してカナリー諸島(北緯28度前後)に達した。ここまで来れば北東から南西への貿易風が吹く。これを利用して、速やかに太平洋を横断することに成功したわけである。イスパニョール島(現ドミニカ共和国とハイチ共和国)からの帰途はまず北上し、偏西風帯に入って、風にのって速やかに戻った。

言われてみれば、なるほど、風の存在さえ知っていれば誰でもできた航海かもしれない。だが最初に成し遂げるのは難しい。いわゆる「コロンブスの卵」だ。

[※参照]
『一般気象学』(第2版) 小倉義光著 東京大学出版会
http://ja.wikipedia.org/wiki/クリストファー・コロンブス
http://www.s-yamaga.jp/nanimono/taikitoumi/taikinodaijunkan.htm

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コメント

わかりやすくて良い解説でした。参考になりました。

投稿: | 2010.08.23 10:10

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