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2007.09.06

中国、日本、朝鮮を漢字一字で表わすと?

Eah1_2タイ学科では東洋文明が必修科目になっている。全16回で、インド文明、中華文明、日本文明を3人の講師がリレー講義する。

日本文明を教えるのは、日本語の授業も持っているG先生。受講生の多くは大学一年生で、日本についての予備知識はほとんど持っていない。彼らを対象に、全5回で日本のことをどこまで教えられるだろう? 講師の力量が問われる、と思って楽しみにしていたら、第一回の授業は映画「ラストサムライ」を見る、だった。うーん、まあそれもありかな。

同時に2つの資料が配られた。一つは日本の歴史(鎌倉まで)の概説書。アマテラス―神武・・・の天皇の系譜や、形式的な元首(天皇)と実質的な元首(貴族、武家)の二層構造、御家人制度、武士道、などを網羅したなかなか優れた資料だった。自国の歴史を海外からの視点で見るのは面白い。

二つ目の資料は、なんとマンガだった。「中国、日本、朝鮮を漢字一字で表わすと?」というテーマのもので、中国は「一」、日本は「和」、朝鮮は「忠」とある。これが面白かったので紹介しよう。

著者は、三国の文化の違いをまず地理的条件が必然的にもたらす歴史の違いに求める。すなわち、中国は大陸の大国、日本は島国、朝鮮は半島であったが、大陸には群雄が割拠し、また異民族の侵略にもさらされるため、大陸国中国は、大国が武力をもって国内を統一することでしか平和を実現できなかった。このため統「一」が最優先事項となった。また戦争が絶えない過酷な歴史だったため、支配者が代ろうと自分には無関係、自分と家族が何より大切とする個人主義が芽生えた。Eah2

他方、島国においては海が自然の障壁となり異民族の流入は防止できるが、国内での戦争は逃げ場がないため凄惨なものとなりがちだ。このため、島国日本ではなるべく他者間で摩擦がおきないように、紛争や摩擦を未然に予防する文化、すなわち「和」の文化が発達した。これには社交辞令、本音と建前の分離、他者不干渉、等も含まれる。また武力による支配者のさらに上に、絶対的権威をもつ調停者=天皇を維持してきた。

さらに半島国は、戦略的に重要な土地となることが多く、常に異民族による侵略の危険にさらされる。このため朝鮮民族は、常に臨戦態勢にあり、武力に頼るところが大きい。また自然と異民族のるつぼとなるため、血を守らなければ民族が消滅してしまう。そこで民族意識が強烈で、他国文化の順応性は低く、また同胞意識が強い。民族を守るための正義の思想・行動(「忠」)が評価され、民族の全体善に背く思想・行動は大きな非難を受ける。


さらに著者は、地理的条件→歴史的事実において、中国とフランス、日本とイギリス、朝鮮とバルカン半島に類似性が見られるとして論を進める。このような見方はヨーロッパの歴史を知る人にとっては、アジア史を知る一助になるだろう。

著者の論法は確かに強引で、厳密に社会科学として論拠を求めていくと論証しきれない部分も多いのだが、実際各国の歴史と一側面をよく言い表してもいて、なるほどと感心した。入門書としてはよいと思った。

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コメント

面白く読ませていただきました。外国人が見た日本ということで、ルース・べネディクトの「菊と刀」を思い出しました。さしつかえなければ
、授業で使用したマンガ本、英語のようですが著者名、タイトル名を教えて下さい。

投稿: KA | 2007.09.07 12:05

>KAさん
コメントありがとうございます。大変励みになります。
ベネディクトの「菊と刀」は私はまだ読んでいませんが、
どんな印象でしたか?
本のタイトル等は、講師に聞いておきますね。

投稿: ftrain | 2007.09.08 02:35

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