« 大航海時代の航海~羅針盤と地磁気 | トップページ | コロンブスの航海と風~貿易風と偏西風 »

2007.09.24

大航海時代の航海(2)~太陽から方角を知る方法

Sunship 昨日、羅針盤を使った航海の限界について書いたが、今日は太陽から方角を知る方法について考えてみる。

北半球であれば、南中時(日中、太陽が一番高い位置に来る点)の太陽の方向が南の方角だ。これは当時でも常識だ。だから南中時の太陽を基準に、遠くに見える島や山などの方角を見定めて、それを頼りに航海を行ったであろうことは想像できる。

ただしこの方法には多くの難がある。まず、南中時にしか使えないことだ。たとえば昼の3時頃方角を知りたくなっても、太陽はもはや基準点にならないので使えない。次に、南中時であっても、山や島など目印になるものが近くにない場合、せっかくわかった方角を記録する方法がないので、船が揺れればそれまでであることだ。

Hl_wristwatchちょっと待てよ、とここで思い出すのは、ボーイスカウトなどでも教えている、太陽と腕時計を使って方角を出す方法(右図)。短針を太陽の方向に向けて、時計盤の12時と短針のちょうど真ん中を示したところが南(北半球の場合)だ、というあれだ。当時もこの方法で方角を知ることはできなかったのだろうか?

まず、なぜこの方法で南がわかるのかを明らかにしてみよう。ポイントは、南中=12時を基準としていることと、腕時計を時を計る道具としてのみならず分度器として利用していることだ。

南中から南中までが24時間なので、太陽は360度を24時間かけて、つまり地球からみると1時間に15度動く。N時間では15N度だ。他方、時計の短針は12時間で360度回転するので、1時間では30度動く。N時間では30N度だ。つまり南中時=腕時計の12時でよーいドンでスタートすると、時計の短針は、太陽が動くスピードの倍のスピードで動いていることになる。

Tokei仮に今17時だとしよう。太陽は5時間で75度西に動いた。だから今の太陽から75度分戻ったところが南中=真南だ。分度器があればそれを使って75度を測ればいいのだが、せっかくだから今17時であることを示してくれた腕時計を使ってみる。腕時計を分度器として使うのだ。文字盤の1時間は30度なので、その二個半分が75度だ。これが真南だ。

面白いことに、短針の指す場所と文字盤の12時でつくる角度の大きさは、いつだって太陽が12時=南中から動いた角度の倍になっている。時計の短針は、太陽の倍のスピードで動いているからだ。だからこの短針と12時でつくる角度を半分にしたものが、太陽が12時から現在までの間に実際に動いた角度で、その指し示すところが12時の太陽の位置、つまり真南だ。これが短針と12時の「真ん中」を取る理由だ。午前中も同じように考えればよい。

さて本題に戻って、ではこの方法で航海中に方角を知ることはできたのだろうか? 上記の説明から、この仕組みが成立するには2つの条件があることがわかる。

(1)   南中時に時計を12時に合わせること
(2)   時計が正確に時を刻むこと

多くの国では、いわゆる標準時を採用しており、基準点(日本なら兵庫県明石市)以外では12時に太陽が南中しない。これでは時計が12時に真南を指さない。当然、それをベースに算出した方角も間違っている。国の時報に時計を合わせるのではなくて、太陽に合わせなくてはいけない。この点、当時でも六分儀(水平面からの角度を図る分度器)を使って南中を知ることはできたので、この点は問題ない。

Henlein 次に、時計が正確に時を刻むことが必要だ。時計は15時を指しているが、実際には15時30分だったというようなら、この方法が機能しないのがいうまでもない。ところが当時の時計はゼンマイ式で、まだまだ分単位の精度がなかったため、分針もなかった。振り子時計は1657年に発明されているが、揺れに弱いので船上では役に立たない。分針もないようでは、毎日12時の南中にセットしなおしたとしても、方角を知るための手段としては限界があったと思われる。

結局、当時の航海は星空、羅針盤、太陽と時計など、方角を知る手段としてはどれも一長一短あるものを、それぞれ補完しながら併用していたのだろう。

[※参考]
http://kawai3.hp.infoseek.co.jp/history2.html
http://www.popxpop.com/archives/2007/08/post_341.html

#好奇心を刺激されたらワンクリックお願いします!にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ

|

« 大航海時代の航海~羅針盤と地磁気 | トップページ | コロンブスの航海と風~貿易風と偏西風 »

07 - 科学・科学史」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/12604/16549557

この記事へのトラックバック一覧です: 大航海時代の航海(2)~太陽から方角を知る方法:

« 大航海時代の航海~羅針盤と地磁気 | トップページ | コロンブスの航海と風~貿易風と偏西風 »