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2007.08.30

イスラム三人娘

Muslim3

私が通う大学はタイ南部のハジャイに本部があるだけあって、イスラム教徒も多く通っている。私の所属するタイ学科もざっと2割がイスラム教徒だ。イスラム教徒は、特に女性は厳格な戒律にのっとって生活しているのだろうという先入観があったが、仲良くなって等身大の姿が見えてくると、みな個性的で実に面白い。


三人のイスラム娘に登場してもらおう。微妙な内容も含むので仮名とした。


まずはP。出身地はナラーティワート(タイ深南部の一つ)。ボディラインや地肌を見せてはならないという戒律に従い、いつもスカートはロングスカート、髪にも黒のスカーフをまとっている。この点は、仏教系タイ女学生に多い「ピチピチ」ウェアとは明らかに異なる。豚は食べない。お酒も飲まない。だがそれ以外は仏教系タイ人と変わるところはない。プライベートお出かけの時にはスカーフを外すこともあるし、飲み会にも参加する(ただし飲まないし、酒ボトルを持つときにはボトルを紙で包んで持つ)。普段は仏教系タイ人の友達と一緒にいる。このコは特に性根が優しく、困っていると必ず助けてくれる。日本語にも興味を持っていて、いろいろ聞いてくる。タイに住むムスリムのアイデンティティは難しい問題だが、このコはムスリムであることと、タイ人であることの双方にアイデンティティを持っているように見える。


次にT。出身地はやはりタイ深南部のヤラー。このコは最近特にイスラムのアイデンティティに目覚めたようで、髪にはスカーフ、白シャツの上に上着を羽織り、黒のロングスカート、と学校でのいでたちはムスリム模範生だ。お酒の席には来ない。毎日欠かさず朝夕お祈りをしている。彼氏も敬虔なムスリムで、このコを見ていると、強烈なムスリムの自尊心を感じるが、「タイ人」というアイデンティティは見えてこない。性格は開放的で、シモネタで人を笑わせるのも得意だ。勉強は抜群にでき、言葉もタイ語の他に流暢な英語と、ヤウィー語(マレー語に近い)、アラビア語を操る。


最後にA。出身地はサトゥンという南部の港町。このコはスカーフをかぶらず、ボディコン制服を着てくるので、見た目からはイスラム教徒であることは全くわからない。飲み会にも来てお酒も飲む。でもそれが彼女にとっては自然なスタイルで、無理しているわけでもないし、違和感も全くない。論理的に話すことやレポートをきちんとまとめることは苦手だが、絵やファッションに才能を見せる。皆の面倒をよく見るので、クラスではリーダー格だ。年下の彼氏がいるが、親が「釣り合わない」と反対していることに悩んでいる。


皆に共通してるのは、とにかく困っていると助けてくれて面倒見が良いことと、素直で裏表のない性格であること。だがそれ以外は、三人とも、宗教的なスタンスも、趣味も友人関係もライフスタイルもばらばらだ。イスラムの女性はこうだ、とあまりステレオタイプにくくらない方がいいようだ。

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