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2007.08.29

『熱帯雨林』 湯本貴和著 を読む

マレーシアに行く前になんとなく買った本。テーマがアジアの熱帯雨林、著者が京大理学部卒で京大生態学研究センターの方なので、てっきりサル学の延長でオランウータン社会のことでも書いてるのかと思いきや、主役は動物ではなくて植物の本だった。

本書の主題は、多様な熱帯の動植物の『生物間相互作用』の紹介にある。筆者は「地球上の生命の歴史は、さまざまな生物の共進化と生物間ネットワークの歴史と読みかえることができる」という。私的に換言すれば、生物は食い食われながら、自己の存続のために互いに進化してきた、そんな中で互いを利用し合うネットワークがいたるところで成立している、というくらいだろうか。

たくさんの熱帯の植物の紹介があるのだが、アリ植物などは特に興味深い。植物が、葉や茎を昆虫に食べられないように、アリをボディーガードとして雇っているという例だ。植物の中にアリを住まわせて、食べ物(蜜)も提供し、アリは他の昆虫をおっばらう。一緒にアブラムシも住まわせて、三者で共存共栄を図っている例もあるようだ。アリは植物に巻きつく他の植物のツルを噛み切ることもあるという。これは光をめぐって他の植物と競争している植物を助ける効果もある。また、以上のような防衛目的ではなく、アリを住まわせる代わりに、アリが出す食べかすや排泄物を栄養分としている栄養摂取型の植物もあるという。

新書版ながら内容はとても充実していて、読みごたえ抜群。植物学者・生態学者はこういうことをこういう手法で研究しているのか、と研究生活が垣間見える。結論だけを書くのではなくて、手法やデータや推論過程も書いているので、門外漢には専門的すぎるきらいもあるが、それは良い面と言えるだろう。好著。

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