« 和太鼓はスポーツである | トップページ | 九月の収支 »

2005.09.24

カドゥケウスの杖

caduceusご覧の画像は、カドゥケウスの杖といいます。カドゥケウスはラテン語読みで、英語読みするとカデューシャス。ギリシャ神話のヘルメスが持っていたことから、ヘルメスの杖とか
マーキュリーの杖とか言われることもあり、またギリシャ語読みでケリュケイオン(Kerykeion)の杖、という場合もある。

最初荒俣宏さんの著書でこの図像を見たとき、これはモトリー・クルーのアルバムのジャケットじゃないか、なぜここに、と思った。違う、モトリー・クルーがここから取ったのだ。そういえば一橋大学の校章にも、世界保健機構(WHO)のロゴにもこのマークが入っている。ロックバンド、大学、保健衛生、とくに共通性は感じられない。一体コイツはなんなんだ、ということを解明するのが本稿の課題である。

hito02who_logo_en

といっても私はギリシャ神話の専門家ではないし、しかも神話なので諸説ある。そこでより詳しくは専門的なサイトを見てもらうとして、一般的な話にとどめる。

まず、この杖の最初の持ち主はギリシャ神話のアポロンだった。この杖がヘルメスに渡った。ヘルメスが生後半日もたたないうちにアポロンの牛を盗んだのだが、アポロンはヘルメスが亀の甲羅で作った竪琴の方が気に入り、牛は返さなくていいからその竪琴をくれ、と交換することになったのだ。この時、牛と一緒に手に入れたのが牛追いに使っていた杖=カドゥケウスの杖であった。

ところでヘルメスは、オリンポスの神のなかでもずば抜けて利口だった。さらに彼は翼の生えた靴を履いて、風よりも早く走る。こうしたことから、大神ゼウスより使者の役に任ぜられた。彼はその賢さや商才にちなみ、商業、旅行、情報伝達の神として敬われる。(余談ながら、高級ブランドの「エルメス」は昔、旅行カバンを作っていたことから、このブランド名としたらしい。)そしてカドゥケウスの杖はヘルメスそのものの象徴として扱われるようになる。

一方、もう一人この杖を持った人がいる。それがアポロンの息子、アスクレピオスだ。アスクレピオスは医学に秀で、その技術は死者をも生き返らせることができるほどであった。蛇は何度も脱皮を繰り返すことから古来より再生と不死身のシンボル、あるいは強い治癒力の象徴であることから、アスクレピオスのシンボルとして蛇が用いられたようだ。彼は死後天にあげられて蛇つかい座となり、神の一員となり、医学神として敬われるようになる。そしてヘルメス同様、この杖がアスクレピオスそのものの象徴となっていく。

カドゥケウスの杖は、ざっと以上のような意味を持つ。なお蛇が二匹絡み付いているのがヘルメスの杖、一匹絡みついているのがアスクレピオスの杖、と両者を分ける説もあるが、実際の使用例としては混同も見られるので、両者を同じくカドゥケウスの杖としてまとめておく。

こうしてみると、一橋大学がカドゥケウスの杖を校章に使っているのは、一橋大学は商科大学としてスタートしていることから、商業の神にあやかったのだろう、またWHOの方はアスクレピオスにちなんだのだろうと推測できる。

荒俣さんによると、ヨーロッパではもちろん、日本でも例えば銀座の和光の建物の壁とか、商業や通信や医療に関わりのある団体に広く用いられているらしい。このブログを読んだ方、上記以外でも何か見つけたら、ぜひ教えてください。

|

« 和太鼓はスポーツである | トップページ | 九月の収支 »

08 - 孝現学」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/12604/6089191

この記事へのトラックバック一覧です: カドゥケウスの杖:

« 和太鼓はスポーツである | トップページ | 九月の収支 »