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2005.03.07

K君の人生

ハワイではいろんな人に会ったが、一番衝撃的だったのがK君だ。

英語研修コースの初日の全体ガイダンスに彼はいた。35才くらいだろうか、肌の色は真っ黒で、目鼻立ちがはっきりしておりインド人のような風貌。早速話しかけてみたら、ビルマ人とのことだった。

翌日ランチを一緒に食べた。彼は現在ハワイの某有名ホテルで働いていて、ここの授業料も会社が出してくれているのだという。彼の英語は文法などはともかく会話力は私より数段優れているのだが、それでも研修に出してくれるなんていい企業だ。たぶん彼は経済的な理由でビルマから移民してきて、ホテルでポーターなどして生計をたててるんだろう。彼は日本語も上手に話す。これはホテルのお客さんがほとんど日本人だからだそうだ。頑張れよ!私はそう思った。

週末に皆でアウトレットモールに買出しに行くことにし、車を持っているK君が迎えに来てくれた。が、なんと車はクライスラーの総革張りの超高級車だった。600万円くらいするとのこと。ローンだが自分で買ったんだという。よくよく聞いてみると、K君はホテルに勤務してるのではなく、ホテルのマーケティングなどをアウトソースしているオランダ系のマーケティング会社に勤めていて、年収は2000万円を超えるんだという。晩ご飯も全て会社持ちで外食できるらしい。彼はオランダ語、スペイン語、イタリア語も堪能に話す。そして日本語と英語。「英語が一番下手です」というその英語さえ私よりは上手い。K君、アメリカンドリームを掴んだね。やったね。

ところがこんな理解も軽率だった。昼メシを食いながら彼が言う。「将来は国連で働きたいと思ってるんだ。内戦の調停の特別ミッション担当として」。彼はビルマの内戦で両親や親戚を失くし、国連の養子制度でオランダに養子としてもらわれていったのだという。「アフリカ各地ではまだ内戦が多発している。その調停をやりたいんだ。3年間でアフリカを一周してまわるような国連の企画があるんだけど、最初23人でスタートして、3年後には辞めたり殺されたりで8人しか残ってないという苛酷なミッション。でも誰かがやらなくちゃいけない。僕には両親もいない、恋人もいない。これは僕のミッションだ。」 そして彼は、将来大怪我をして帰ってきたときのために、と、収入の多くを貯金にまわしている。

彼とどこで会ったか? 彼は英語研修コースの私のクラスメートだ。あまりにも平和な私の日常と、彼の人生とのギャップに、何か気恥ずかしかった。

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